鍼灸マッサージ院ミモザです。

前回は自律神経の調整に役立つツボを3つ紹介しましたが、今回は自律神経を整えるためのストレッチをご紹介します。
ストレッチをする事自体ゆっくりと落ち着いた雰囲気の中で行えば、どこの筋肉を伸ばしてもリラクゼーション効果から、自律神経を整える事に役に立ちます。しかし、今日はあえて首の筋肉のストレッチに着目します。リラクゼーションをもたらす副交感神経が首そして仙骨という部分から出てくるという事もありますし、非常にコリを感じる患者さんが多い部分でもあります。

今回の筋肉は『胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)』。首の前に左右1対あります。耳の裏側辺りから首の前を走り胸骨と鎖骨にくっつくこの筋肉は、皆さんもすぐに確認することが出来ます。鏡に向かって顔を少しそむけるように動かしてもらうと一方の胸鎖乳突筋が容易に確認できます。頭を横に倒したり、うなづいたり、または天井を向くように顔を上に挙げる時など様々な頭の動きに使われる筋肉です。
この筋肉の周辺にはリンパ節も豊富に存在し、風邪等を引いた際にもこの筋肉が緊張しているように感じる事が多いのですが、より、日常生活においてもデスクワークが長くなり肩が凝る、目が疲れる、頭痛がする等という時にもかなりの確率で緊張しています。単純に肩よりも頭が前に出ているような状態では胸鎖乳突筋が常に緊張をしているからなのですが、呼吸を補助する作用もあるので、浅い呼吸を繰り返しているとそれも緊張の原因となっていきます。これによって声の質や声の通りも影響を受ける事があります。
この筋肉をストレッチすることで、首の緊張を緩和する事につながります。またこの筋肉を動かし支配している神経は副神経という神経です。これは脳から出ている12ある神経(これらを脳神経といいます)の内の1つですが、実は、副神経はちょっと特殊です。副神経は脳神経の1つなのですが、大元をたどると脊髄という部分から出てきてそれが一度脳の方へ上がってあたかも脳から出てきているようになっています。そして重要なことはこの副神経、同じ脳神経の1つである「迷走神経」と大きく絡んでいます。この迷走神経は、名前の通り脳から出てきて様々なところに分岐したりして最終的には内臓まで支配している最大の脳神経です

自律神経は内臓の働き、血圧、心拍数などをコントロールしているものですが、迷走神経も内臓への影響を与えていますので、胸鎖乳突筋の緊張と副神経の影響、そして副神経が受ける迷走神経の影響を胸鎖乳突筋のストレッチで緩和することで、自律神経の働きも整える事が出来ると思われます。

実際のストレッチですが、まずは顔を正面に向けた状態からゆっくりと頭を横に倒していきます。例えば右側に倒したら、左側につっぱり感が出てくると思います。そこまで伸ばしたら、今度は顔を天井方向に向けていきます。最終的には斜め上を見るような形になります。

無題

ここまでが現代医学的な視点からの自律神経の調整。
これを東洋医学的な解釈の1つとしては、胸鎖乳突筋の緊張は胃の流れの引き攣れ、緊張とみる事も出来ます

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この図は足陽明胃経という胃の流れ(経脈)です。胃経は目の下から始まり、こめかみなどへの流れをもたらし、そのまま首の前、胸、お腹、ももの前、スネと体の前面にかけて上から下まで流れていきます
図の左側は上半身を中心としたラインですが、首前の赤いラインは胸鎖乳突筋のラインと符合します。お腹が張っている、違和感を感じる時に人は体を前にかがめるような姿勢をとります。この解釈として胃経がひきつれているとみても面白いのではないでしょうか。また胃経は全ての経脈の海として非常に重要な役割を担っている経脈です。全身のバランスが崩れている時にこの胃の流れを整えることは重要になります。
そこで、右の図の下半身、特に膝下に赤いラインとともに赤い点で示されている部分、これは膝に近い方から「足三里」「上巨虚(じょうこきょ)」「下巨虚(げこきょ)」となりますが、胃や腸の反応のでやすいツボになります。ここにお灸をすえたりマッサージしていくことで胃の流れを整えていけば、胸鎖乳突筋の緊張も緩和するかもしれません。
また胃の流れが体の前面ですので、下に挙げるようなストレッチも胃経を伸ばすストレッチ
ととらえるとケアもしやすいのではないでしょうか。

小胸筋ストレッチ(胃経)
胃経ストレッチ

気温差の激しい季節の変わり目です。できるケアを無理なくためしてみてください。