鍼灸マッサージ院ミモザです。

院には膝のトラブルをかかえてご来院される方もいらっしゃいます。加齢による軟骨の変形がおきて痛みを覚える変形性関節症の方、運動をされていて膝に水がたまってしまう方、日常的に立ったり座ったりしている際に痛みを感じる方など膝のトラブルは多いです。

今回は、続編を書くかも知れませんが、まず、膝の動き、特に膝が伸びないという状態について数ある要因のうち、骨盤や足首の動きを絡めたメカニズムと対応策を書いてみようと思います。

まず、膝は太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)との間にある関節です。その動きは基本的に曲げ伸ばしと、回旋が可能になっています。

膝構造

図では膝のお皿(膝蓋骨)は分かりづらくなりますので書いていませんが、右膝の図です。上の骨が太ももの骨、下がスネの骨です。それらが左右にずれないようにしている靭帯という筋が骨の左右にあり、前後にずれないようにしている靭帯、ここには名称が書かれていますが、前十字靭帯と後十字靭帯という靭帯が動きを制限しながら安定させています。

この膝の関節がしっかり曲げ伸ばしを行う為に必要な、特徴的な動きがあります。それがスクリューホームムーブメントと呼ばれる動きです。トレーナーや医療関係の方には普通の言葉なのですが、一般的なものではありません。しかし、この動きはご自身でも確認できます
スクリューホームムーブメントとは、膝が最大に伸びる時の最後の方で、太ももの骨に対して、スネの骨が外側に回り(外旋)、膝が曲がっていくに従って、太ももの骨に対してスネの骨が内側に回る(内旋)」という動作です。実際に、椅子に座って、片足だけゆっくりと膝を伸ばしてみていただくと、伸びていく最後の辺りからつま先が外を向くように動く事が確認できると思います。

SHM

今日の本題は「膝が伸びない」という事なのですが、この状態において大事なるのがこのスクリューホームムーブメントです。先ほども書きましたが、膝が最大に伸びる所でおきるスネの外旋運動、逆に言えば、この外旋運動が正常に働かないと最大に伸びる事が出来ないという事を意味します。
そして、ためしていただいた動き、図の動きはどちらも椅子に座った状態からの膝の動きです。しかし、日常の動きの中で足が床や地面についていない状態で膝を伸ばすことは少ない(ダンスやスポーツではみられるのですが)です。では、足が地面に着いた状態、例えば階段を上る時に起きるような状況では、足は当然地面で固定されているのでスネは外側に回る事が出来ない、となるとスクリューホームムーブメントは起きないでしょうか。じつはこの時に起きるのはスネが外側に回る動きではなく、太ももの骨が内側に回させる内旋という動きです。太ももの骨に対してスネが外に回るのか、スネの骨に対して太ももの骨が内側に回るのか、しかし結果として起きる膝の動きには同じ方向にねじられながら伸びるという事です。
実際に施術においても太ももの内側への動きを改善することで膝の動く範囲を広げられることはよくあります。

では、すこし回りくどくなりますが、太ももの骨が内側に回せない要因は何があるでしょうか。1つには太ももの骨が通常よりも外側に回った状態が保たれてしまっているという事になります。では、太ももの骨が外を向きやすくなる要因は…と施術では、起きている現象を体の運動の関係性で考えてアプローチするのですが、ここでの要因は骨盤の後傾にあると言えます。
骨盤の後傾、腰骨に手を当ててお腹を凹ませるように腰骨(骨盤)を下に回します。これが骨盤の後傾です。この影響はおおよそ下の図のようになります。

o脚骨盤

骨盤が後傾することで、太ももの骨は本来の位置よりも若干、うしろ、そして外側に移動し(オレンジ色の点線が本来のラインで赤い線が後傾による変化する方向です)、外側に回されます。その影響は、膝を介して足首までたどり着きます。足は立った状態では若干外側(小指側)に重心が乗りやすくなります。逆に立った際の重心の位置が外側にのっていると骨盤は後傾しやすくなります。

膝が伸びない⇒スクリューホームムーブメントが正常に働かない⇒立った状態で太ももの骨が内側に回らない⇒骨盤が後傾⇒骨盤の後傾が改善⇒太ももの骨が内側に回りやすくなる⇒スクリューホームムーブメントが正常化⇒膝が伸びる

という図式でアプローチを考えます。骨盤が後傾する原因も様々ですし、実際は背骨の動き等も絡みますが、一般的な要因として、背中が丸まっている、お尻の筋肉が硬い、お腹の緊張が強い、太ももの前の筋肉と後ろの筋肉とのバランスが悪いなどが考えられます。

そこで、まずは簡単な事からセルフケアしてみてください。ももの裏側を良くストレッチしてみる、背中が丸くなっていると思ったらゆっくり・しっかり腕も使って全身の伸びをしてみる、手を後ろ手に組んで胸を張って胸のストレッチをする、椅子に座った状態で足をもう一方のももの上において4の字にしてから体を前に倒してお尻のストレッチなどです。
胸のストレッチや背骨の動きや肋骨の動きの改善に関しては去年の8月5日、9日にアップした記事がありますので参考になさってください。

今回は膝の動き、特に太ももの内側への動きの大切さを書きましたが、逆に太ももが内側に入りО脚を形成する事もあります。このことは近々書いてみようと思います。まずは日々のストレッチやケア、施術で正しい姿勢、正しい骨盤の位置を獲得できると体の様々なトラブルが改善されますので出来ることからはじめてみてください。