鍼灸マッサージ院ミモザです。

院にはバレエを始め、日々運動にいそしんでいる方も多くご来院いただいておりますが、「体力をつけるには」という事を聞かれる事もしばしばです。
そこで、今日は体力に関して、基礎代謝量や必要栄養素量の計算方法を書いてみて、本番前のスタミナ向上に対しての一案を書こうと思います。

まずは、体力に関係する栄養と基本的な数値の計算方法から。

炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質。そして、その働きを補い体を円滑に機能させる為のビタミン、ミネラル、水、そして食物繊維が体に関わる重要な栄養素たちです。
各々の役割は下のようになっています。

栄養素

たんぱく質から体のエネルギー源にいくラインは点線ですが、これは体のエネルギー源としてはまず炭水化物と脂質がメインになり、たんぱく質までエネルギー源に割り当てられることが少ないからです。むしろ、たんぱく質、その最小単位はアミノ酸ですが、これは体を構成している基本物質です。アミノ酸がたくさん集まってたんぱく質となるのですが、ここからエネルギーを取り出すには炭水化物と脂質にはない、窒素を分解しなくてはたんぱく質からエネルギーが取り出せ
ず、窒素の分解は複雑なので、飢餓状態など緊急時にエネルギー源になります。

これらの摂取量はどの程度かという事になりますが、まずはたんぱく質から。

1日あたりのエネルギーに占める割合(PFC比と言われます)では、およそ9~20%(炭水化物は50~70%、脂質は20~25%です)が目安になります。たんぱく質と炭水化物(糖質)は1gあたり4kcalのエネルギーを生みだし、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを生みだします
そこで、例えば総エネルギー量(後述)が2500kcalの方の場合は、たんぱく質はそのうち9~20%ですから、225kcal~500kcalが必要になり、それを1gあたりのエネルギー量4kcalで割ると56gから125gが1日で摂取すべきという事になります。

たんぱく質は、

総エネルギー量×0.09~0.2÷4kcal

炭水化物量は

総エネルギー量×0.5~0.7÷4kcal

脂質は

総エネルギー量×0.2~0.25÷9kcal

で必要量が計算できます。

この他にも体重を基準に割り出す方法もあります。

体重1kgあたりに必要な糖質やたんぱく質の必要量が数値化されています。
例えば、糖質に関しては、5~12gが基準となります。かなり幅のある数値ですが、これは個人個人の運動量に影響を受けています。それほど強度の高くない運動をされている方は、5~7gを基準値にしますし、強度の高く持久的な運動を行っている場合は7~12gを基準にします。

例えば50kgの方が軽いジョギングをしている場合は、

50×5~7g=250~350g

強度が高い運動を持続的にしている場合は

50×7~12g=350~600g

という事になります。ちなみに、普通のご飯茶わん1杯が150g程ですが、この中に含まれている糖質は55g程です。軽めの運動をしている方でも1日のご飯の量は茶碗5杯分となります。しかし、実際は肝臓などでブドウ糖は作られていますし、その他の食べ物にも糖質は含まれているので、あくまで、おおよその目安にしていただき、大事になるのは先ほど書いたPFC比に基づいたバランスのいい食事を心がけてください。

体重に対してのたんぱく質も基準値を使います。ほとんど運動をしていない方の基準値は体重1kgあたり0.8gです。しかし、持久的なトレーニングを行っている方の場合は1.2~1.4g。ウエイトトレーニングをしっかり行っている場合は1.2から1.7gを基準値として計算をします。

先ほど出てきた「総エネルギー量」。これは何もしなくても安静にしている状態で最低限必要なエネルギー量が「基礎代謝量ですが、これに活動レベルを考慮して割り出した、活動も含めた推定の必要エネルギー量です。

まず基礎代謝量ですが、様々な出し方があります。

もっとも簡単な方法は、

体重×25~30kcal

という方法ですが、これは少し簡易的なので、ハリス・ベネディクトの計算式に当てはめるという方法もあります。

ハリス・ベネディクトの式(W:体重kg、H:身長cm、A:年齢)

男性⇒66.47+(13.75×W)+(5×H)-(6.78×A)
女性⇒655.1+(9.56×W)+(1.85×H)-(4.68×A)

例えば身長170cm、体重60kg、25歳の男性の場合は、

66.47+(13.75×60)+(5×170)-(6.78×25)
=1571.97kcal

という形です。しかしながら、この計算式は欧米人を基準にしているので、日本人に対しては、以下の計算式で出されることが多くなります。

男性⇒14.1×W+620
女性⇒10.8×W+620

この式を使えば、先ほどの男性の場合は1466kcalとなります。

どちらの式でもかまいませんので、ご自身の基礎代謝量を計算してみてください。

その数値に、以下の表によって割り当てられた活動レベルをかけてみます。

$R7VHRA1

これは厚生労働省が発表している『 日本人の食事摂取基準 II 各論 1.エネルギー・栄養素 1エネルギー』の中にある表なのでご興味のある方はサイトを見てみてください。
先ほどの25歳の方の基礎代謝量は1466kcalでした。ここに、例えば、この方は運動をハードにやっているという条件であれば、表からレベルⅢの数値、2.0を掛けます。

推定総エネルギー量=基礎代謝量×活動レベル値

1466×2=2932kcal

この2932kcalがこの男性の推定の総エネルギー量です。

これを基にそれぞれの必要量は以下の通りになります。

たんぱく質
2932×0.09~0.2÷4kcal=65.97~146.6g
糖質
2932×0.5~0.7÷4kcal=366.5~513.1g
脂質
2932×0.2~0.25÷9kcal=65.2~81.4g

という事になります。

まずは、自分自身の基礎代謝量、必要な推定総エネルギー量を出してみるとおおよその摂取すべき栄養素の量が分かると思います。なかなか補えない量の場合はサプリメントを摂るのもお勧めです。

ここまでは、ご自身の体力を知っていただく方法でした。

ではスタミナ、体力をつけたいという場合の食事はどうしたらよいのでしょうか。これは様々な方法がありますが、古典的には「カーボローディング」という方法があります。カーボとは、炭水化物、つまり糖質の事です。本番前からこの糖質を効率的に体内に取り込みましょうという方法です。
以前は本番から逆算して1週間から10日前からスタートして、本番4日前までは、たんぱく質と脂質を中心とした食事をとり、糖質の摂取を制限した上で、本番3日前からは逆に糖質を中心としてたんぱく質と脂質を極力摂らないで、筋肉中や肝臓にエネルギー源の糖質をその許容範囲まで蓄え、本番でのスタミナ切れを無くすという方法がとられていました。
しかし、この方法は、糖質を制限している期間、体に対して、非常に負担をかけてしまいます。そこで現在では、本番3日前から、運動の量を減らし(=体から糖質由来のエネルギーを奪わない為)、糖質を中心とした食事に切り替えるという方法に代わってきています。

PFC比では糖質は全体の50から70%をベースにしていましたが、これを70%以上摂取するように心がけます。パスタやうどん、ご飯、パンを中心とした食事に本番前の3日間は切り替えることで、そして、蓄え始めた糖質を余り使わないようにするために運動は最低限度の量に落とし、本番中のスタミナ切れを無くします。また、本番の日は糖質メインですが、その中でも、柑橘系の果物も摂ると良いと思います。柑橘系に含まれるクエン酸は実は、体のエネルギーを引き出す際の重要な要素なので。

今回は長々と計算式などを書いてしまっているので最後までお読みいただきありがとうございます。

今回紹介した計算をまとめておきます。

基礎代謝量の計算
⇒ハリス・ベネディクト式
男性⇒66.47+(13.75×W)+(5×H)-(6.78×A)
女性⇒655.1+(9.56×W)+(1.85×H)-(4.68×A)
日本人向け簡易方法
男性⇒14.1×W+620
女性⇒10.8×W+620

推定総エネルギー量
⇒基礎代謝量×活動レベル

必要3大栄養素量(P:たんぱく質・F:脂質・C:糖質比)
⇒推定総エネルギー量×(たんぱく質のPFC比に基づく%)÷4
推定総エネルギー量×(脂質のPFC比に基づく%)÷9
推定総エネルギー量×(糖質のPFC比に基づく%)÷4