生気象学

天気が悪くなると膝が痛い、低気圧が近づくと頭痛になりやすいなど天気によって体調の不調や変化を感じるという話は、少なからず聞いたことがあるかもしれません。

このように気候や気象という物理的、化学的環境の変化が人や動物、植物がどの様に作用するかを追求する分野を生気象学と言います。これはまだ歴史の浅い学問ですが、多くの事が分かりつつあります。頭痛と気圧の関係に関しては”Neurology”というアメリカの雑誌で2009年3月10日に”Weather and air pollution as triggers of severe headaches”というタイトルで記事が書かれています。原文はNeurologyをサイトでも見れますのでご興味がある方はそちらを見てください。もともとは大気汚染物質と頭痛の関係に関しての文献でもあるのですが、この中で「24時間で5℃の気温上昇があった際は急性の頭痛を感じるリスクが7.5%上昇。また、48~72時間以内で低気圧にさらされると、片頭痛やその他の頭痛を感じるリスクも上昇した。」という事です。

ですので、この梅雨の時期に頭痛になりやすいという方はやはり、気温と気圧の影響を受けてその症状が出ていると言えそうです。この時に時間的な問題として低気圧時の変化として48~72時間という時間が設けられています。言い換えれば気圧の変化に関しては瞬間的なもの、例えばエレベータや飛行機の離陸、着陸時の変化等でも頭痛のリスクが高くなる事になりますが、実際はそのようなことはあまりないと考えられます。そのような短時間でのデータというよりは数日間の低気圧がもたらす変化として頭痛のリスクが高まるという事はデータとして出たようです。

気象病の原因

気象病と言われるものには大きく4つの原因があるとされています。

前線や低気圧の通過による急激な気圧の変化

気圧が急激に低下すると身体の中でヒスタミンという炎症物質が作られます。なぜ作られるかはまだ解明されていませんが、急激な変化を外的な刺激と認識してヒスタミンが増えるのではないかという事が予測されています。

このヒスタミンは、血管を拡げたり、血圧を低下させたり、また内臓などを作っている筋肉(平滑筋と言って通常身体を動かす時に使う横紋筋とは違います)を収縮させたりします。血管が拡がり血管の壁の間から液体が外にでるので、むくみ等も引き起こされたりという反応もおこります。特にヒスタミンにはアレルギー反応を引き起こすための介在物質という側面があるので、気圧の変化で皮膚が痒くなったり、アレルギー性の鼻炎に急に襲われるなどもこのヒスタミンが関係しているのではないかと言われています

頭痛に関しては脳内の血管をヒスタミンの作用で拡張されてしまう事で血管の近くの神経を刺激して痛みが出る、これによって脈打つような痛みがくるという説やヒスタミンが脳の血管の細胞と反応して窒素合成物質ができ、これが頭痛の原因になるという説があります。またヒスタミンは炎症を助長している物質ですからこれが関節等の痛みの原因ではないかという事で、天気の崩れと関節痛が関連があるという事になります。

自律神経に影響を与える

気温が急激に変化(日内の変動で8℃)すると、自律神経の調整が難しくなります。特に、低気圧などは身体に与える気圧が低下することで血管が拡張したり、それによってむくんだりという事になっています。この点に関してはもちろん影響はあるように思えますが、どこまで身体の内部に影響を与えうるのかは個人的には疑問ですが、低気圧によって副交感神経が優位になる事がわかってきています。また、先ほどのヒスタミンは炎症促進物質という側面と神経の間で情報を送る神経伝達の役割があり、この際に情報を伝達しているのが交感神経系です。ですので、低気圧によって副交感神経が優位になり、身体はだるく、やる気がでなくなり、リラックス方向へ向かうのに、同時に作り出されるヒスタミンは交感神経系に働きかけることで自律神経のシステムに乱れを生じさせてしまいます。

急激な気象の変化が身体や精神に対してストレスを与える

これは急激な変化がストレスとなり、脳下垂体というホルモン分泌に関係する部分に影響を与えて体調を崩すという考え方です。特に感受性の強い方は気象の変化によって気温、気圧、湿度、空の色、音、匂いなど様々なものに心理的なストレス、そして、気圧などは耳の奥の内耳という部分のリンパ液に影響を与えそれがストレスとなり、精神的に負担を受けてしまいます。

気圧の低下による酸素濃度の低下

先ほどの気圧による血管の拡張は脳内だけではなく身体中に影響を与えます。つまり低気圧で血管が拡張して頭痛を引き起こすことは無理があるという観点から、気圧によって受ける酸素濃度の低下が肺の血管に影響をあたえ、自律神経を乱しているという考え方もあります。

どの説、原因も確定ではありません。現時点では、気圧や気温の急激な変化が身体に作用していることは分かり始めていますし、その原因の1つが自律神経の乱れであろうという事は言えそうです。あくまで参考程度にしておいてください。

気象病をケアするには

気象の変化という大きなものに対して、日々出来る事を書いてみたいと思います。

頭痛に対して

ここでは低気圧によって増してしまう頭痛に対してですので、一般の頭痛に対しては逆効果になる事もあります。大きなくくりとしては、低気圧によって自律神経、ヒスタミンの作用から血管が拡張していることで起きると考えられていますから、血管を収縮させるようなケアが良い事になります。

頭や首を冷やす運動を避け音や光の少ないところで横になっているコーヒーなどのカフェイン(血管の収縮作用があります)を摂取する、などが行いやすいセルフケアです。

その他にはツボを押すという事になります。マッサージは血流を良くしてしまうので、結果として血管を広げてしまうので、避けていただいて、指圧や鍼などでツボを局所的に刺激する方がいいと思います

tennchuu

ここに示したツボは後頭部にあるので押して、頭や押した周辺に響くポイントをゆっくり響きがなくなるまで押してあげると良いと思います。

気象病に対してのケア

やはり自律神経のバランスを整える事が大事ですので、一般的に言われる、睡眠をしっかりと取るゆっくりとお風呂に入る、などが有効です。また原因の1つでもあった酸素濃度の問題もあるので、深呼吸も有効な手立てかもしれません。

自律神経を整えるツボに関しては以前ミモザで書いた記事があります。クリックしてみてください。

また、自律神経を整える方法もここに載せておきます。

結語

ちょっと難しい話題でしたし、まだまだ解明されていないメカニズムもありますが、日々施術をしていると低気圧や天気の崩れで体調を崩したりする方が多いものです。その原因に対して出来る事をセルフケアでしていただく事が症状の軽減につながると思います。

まずは生活のリズムを乱さない事(これが難しいのですが…)を心がけてこの梅雨の時期を乗り切ってください。