去年になりますが、日本国内では初めて「カフェイン中毒」による死亡例がでました。患者さんの中には「頭痛時にコーヒーを飲むと楽になると聞いたけど本当か?」と聞かれる方もいらっしゃいますが、それも含め今回はカフェインについて書いてみようと思います。

カフェインの効果

カフェインには「覚醒作用」「利尿作用」をはじめ、「代謝向上作用」「強心作用」などの効果があります。

覚醒作用

カフェインの覚醒作用は良く知られるところだと思います。眠気を抑えるという意味合いで用いられることが多いと思いますが、人間の脳は起きている時に一定レベルの興奮状態にあります。この状態で神経が興奮しているとアデノシンという物質が分泌されそれが一定レベル以上に達すると眠気が出てきます。このアデノシンのレベルをキャッチしているセンサーにカフェインは働きかけ、その働きをブロックしてしまいます。眠気を誘うセンサーをブロックすることで眠気を感じなくさせる働きがカフェインにはあります。つまり単純に興奮作用を起こしているというよりは、沈静させるセンサーにブレーキをかけてあたかも覚醒させているようになるという事が言えます。

利尿作用

カフェインには交感神経を刺激する作用があります。これによって腎臓内の血管が拡がります(カフェインには末梢の血管を収縮させる働きがあるのですが、ここでは交感神経刺激により内臓の血管は拡張することになります)。拡がった血管から腎臓内でのろ過量が増えることで尿の量が増える、そこに利尿作用があるという事になります。

むくみの改善でカフェインの摂取を勧めるダイエット法もあればかえってむくみを助長してしまうという正反対な意見があります。たしかに、むくみなのだから、利尿作用は余計な水分を体外へ排泄してくれるのでむくみ改善という事になりそうですが、カフェインの作用は非常に複雑です。先ほど書いたように腎臓内の血管拡張による濾過量の増量が尿の量を増やしていることを考えれば、全身的なむくみはリンパ系なども絡んでのむくみですから、カフェインにそれほどの力があるのかは疑問なところです。またカフェインの摂取が鉄分の吸収を妨げる、カリウムの消費を激しくすることでナトリウムとカリウムのバランスを崩しナトリウムの排泄ができなくなり結果としてむくみを助長してしまうという事も意見としてはあります。確かに生理学的にはそうですが、すべての栄養を含有の食べ物や飲み物で賄っているのであればカフェインの影響は強いでしょうが、他の食材などを通してそこまでカリウムの消費が問題になるか判断が難しいところです。

ただ、むくみ改善の正誤はおいておいて、カフェインには確かに尿量を増やす作用があるという事は言えます。

興奮、覚醒作用と利尿作用がカフェインの主だった作用で取り上げられることが多いのですが、そのほかにも先ほど挙げたように心臓の収縮力を強める強心作用や胃腸の活動を高める作用、リパーゼという脂肪を分解する酵素を活性化させる作用(これによってカフェインダイエットが成り立ちますが、単にカフェインを飲めば脂肪を分解するのではなく、カフェイン摂取後30分くらいしてから有酸素運動をしないと脂肪は分解されませんので気を付けてください。)などその作用は多岐にわたります。

カフェインの依存性

カフェインには若干の依存性があることは知られるところです。以下のような症状がカフェインの摂取後に緩和されたらカフェインの依存があると考えられているようです。

・頭痛が起こる

・体がだるい

・不安になったり気分が落ち込む

・吐き気、嘔吐がおきる

・集中力が欠如する

 

このような状態がもし出ているようでしたら、それはカフェイン依存からの離脱症状という事になるかもしれません。カフェイン依存から脱するにはカフェインを含んでいる飲み物などは当然避けるべきですが、カフェイン摂取をやめた後の経緯は個人差があるようです。離脱症状のような状態が2日で収まる方もいれば1ヶ月以上かかる方もいるわけですが、おおよそ強いストレスを感じるのは1週間程度という事です。その間、いきなりやめるという方法もありますが、飲む量を徐々に減らしていき体への負担を最小限にする方法ももちろんあります。

カフェインの半減期

体内に取り込まれたカフェインはおよそ6時間くらいすると半分になります。カフェインの効果を完全に消失するには8~12時間、体からカフェインを完全に抜くには数日かかるとされています。

カフェインの効果として覚醒作用がありますので、睡眠時間前の6時間は飲まないようにする方が睡眠の質を悪いものにしない方法でしょうし、12時間前までにやめておけば睡眠の質をいい状態に出来る可能性があるという事です。

カフェインとの付き合い方

飲まない方がいい、摂らない方がいいという意見ももちろんありますが、それが出来るならばそうしてもいいと思いますが、カフェインの摂取上限をしっかり理解しておき、タイミング等も考えて飲む分にはそれ程の問題はないのではないかと思います。

上限

一般的には成人の場合は1日に400mg、妊婦では200mgが健康に害を及ぼさない量とされています。また、急性中毒症状に陥るリスクは成人では1時間当たり6.5mg/kgとなると50%の確率で、3時間で17mg/kgでほぼ100%の確率というデータもあります。ちなみに1度に200mg/kgを越えると最悪の場合は死に至る事もあるようです。体重60kgの方であれば、1時間当たり390mgで50%のリスク、3時間で1020mgでかなりの確率で急性中毒へ、1度に12000mgとれば最悪致死という事になります。コーヒーで換算すると大体5,6杯で400mg摂取する事になります(12000mg摂るには物にものりますが200本ほど栄養ドリンクを飲む計算になります)。

*ちなみに子供の場合は2.5mg/kgが1日の上限です。20kgの体重の子供では50mgが上限となります。例えばコーラ500mlに含まれるカフェインの量は50mgですので、コーラ1本で上限という事になります。

タイミング

先ほども睡眠前に関して書きましたが、上手な付き合い方としては昼寝など短い時間で休息を取りすっきりしたいという場合はカフェインは摂取してから30分くらいしないと覚醒作用等は起こりづらいですので、昼寝の30分前に摂っておくと目覚めのいい昼寝となります。また有酸素運動による脂肪の燃焼を考えても運動の30分前に摂っておくことがタイミングとしては良いでしょう。

カフェインの含まれている飲料

これは図示させていただきます。カフェインは多くの飲料に含まれているので、自分が良く飲むものがどの程度カフェインを含むのかをしっておくと参考になると思います。

無題

栄養ドリンクに関しては詳しく調べているサイトがございましたので、こちらから確認してください。

カフェインを絶対悪とするのも極端ですし、正直カフェインよりも健康を害している行為は日常生活にあふれています。カフェインがもたらす覚醒作用や疲労回復などが結局のところ、疲労を感じるためのアデノシンのセンサーをブロックしている結果のもので本当の意味で覚醒したり、疲労を回復していないものであっても、上手に付き合う事で健康へのリスクを最小限にとどめる事ができますし、日々の息抜きにりリフレッシュできるものであるならば良しとするところではないでしょうか

ちなみに最初の「頭痛を軽減させるためのカフェイン摂取」は頭痛のタイプと個人差にあると言えます。血管が拡張していることで起こるような拍動性の頭痛にはカフェインは脳の血管を収縮させる作用があるので有効に働く事はあります。市販の鎮痛剤にはカフェインが含まれているものが多くあります。しかし、たとえそのようなタイプの頭痛であってもカフェインが有効に働かないケースもあります。飲んでみてどうなるかはやはり試していただく事になります。もし、楽になるのであれば摂取量等に気をつけてたまにはカフェインを摂取してもいいと思います

カフェインだけではなく、多くの体に取り入れるものにはいい面と悪い面があります。何事もほどほどに摂る事が大事ということです。