今回のテーマは糖尿病です。院ではサプリメントも販売しているのですが、購入された患者さん(糖尿病予備軍)から「サプリメントに果糖が入っているが、自分が飲んでも平気なのか?以前、医師からは果糖の摂取が糖尿病を助長すると言われた。」という質問を受けました。

今回は西洋医学的に糖尿病を考えてみて、先ほどの質問に答えてみようと思います。

糖尿病

糖尿病は、血液の中にブドウ糖が過剰にある状態です(血液内のブドウ糖の事を血糖と言います)。この血糖値を下げる働きをもつインスリンという体内ホルモンの働きによって血糖値の上昇をコントロールしています。インスリンはほぼ、唯一血糖値を下げる作用のあるホルモンで、膵臓で作り出されています。このインスリンが膵臓で作り出せなくなると、血糖値を下げれずに高血糖となり、尿にも糖分が含まれていきます。これが先ほど書いたように糖尿病という状態です。

タイプ

糖尿病は1型と2型に分ける事が出来ます。

1型は、自己免疫の異常からインスリンを作り出している膵臓の膵β細胞が破壊されることでインスリンが絶対的に足りなくなってしまいおこるものです。多くは8~12歳頃に発症するとされていますが、中には成人から発症する事もあります。これは日本人では少なく、糖尿病患者の5%です。

2型は、おもに40代から発症しやすく、インスリンの分泌低下(過食や運動不足等が一因)やインスリンへの抵抗性の問題(細胞に対してインスリンがうまく働けなくなる。分泌量はそれ程低くないケース)があります。こちらは糖尿病患者の95%となっています。比較的遺伝的な形質も影響を受けているようで、家族内で糖尿病を患っている場合はなりやすいとされています。

糖尿病患者数は平成23年では270万人となっています。その他、統計的なことはこちらを参考にしてください。

症状

高血糖による症状としては、口が乾きやすい、尿の回数が多くなる、多飲、多食、体重が減少する、疲れやすくなる、感染症にかかりやすくなるなどがあります。比較的早期は自覚症状が無く、このような症状が出ている頃には進行しているケースが多くなります。

合併症

糖尿病で恐いのはこの合併症かもしれません。主に3つあります。

糖尿病網膜症…血行障害によって眼底の血管が詰まることで、視力の低下をもたらします。場合によっては失明のリスクもあります。成人の中途失明の原因で糖尿病によるものが一番です。

糖尿病性神経障害…高血糖な状態が続くと、手足などの末端の血行が悪くなります。これによって神経障害が出始めます。しびれや感覚の鈍麻などがあり、悪化すると細胞が壊疽を起こすため、下肢切断という危険もあります。また、自律神経にも悪影響を出し、下痢や便秘を起こしやすくなったり、立ちくらみ(起立性低血圧)、失神(血管迷走神経性)なども出てきます。

糖尿病性腎症…高血糖のために、それを濾す腎臓のフィルターが詰まりやすくなります。血液をうまく濾過出来ないために尿に糖が含まれていきます。腎臓に負担がかかり機能の低下、悪化すると人工透析などが必要です。

この他にも様々な合併症がありますが、糖尿病で特に注意の必要なものは上の3つです。いずれも血管の問題が絡んでいます。高血糖な血管は詰まりやすく、血管本来の柔軟性を欠いてしまいます

原因

糖尿病の原因は「食べ過ぎ」「肥満」「運動不足」「ストレス」「薬剤(血圧降下剤や副腎皮質ホルモン)の作用」「老化」「遺伝」「妊娠」等があります。糖尿病は、血液内のブドウ糖が過剰になっている状況です。それを抑えるのが先ほども書いたようにインスリンという膵臓のホルモンです。

インスリンとブドウ糖

食べ物が口に入るとまずは、胃から腸に消化されながら進みます。そして、ブドウ糖が腸から吸収され血液内に入ると、膵臓という身体の左側にある臓器の一部からインスリンが分泌されます。インスリンは血液内のブドウ糖を身体の細胞に運び血液内のブドウ糖を減らそうとします。身体の中でブドウ糖を貯蔵する主な部分は3か所。筋肉と肝臓と脂肪組織です。貯蔵されたものは必要に応じてエネルギー源として働きます

インスリンが血液から細胞にブドウ糖を取り込ませるには、細胞にあるインスリン受容体というものを刺激して、その細胞の別の部分にあるゲート(門)を開かせることで、ブドウ糖を細胞に取り込んでいきます

先ほど原因として書いた様々なことは、血液内にブドウ糖をたくさん取りこんでしまうような高脂質な食べ物を食べ、インスリンの急激で大量の分泌を繰り返し膵臓を疲労させたり、運動不足で筋肉などを使わなくなってブドウ糖を身体にため込んだり、または、インスリンの分泌不足や遺伝的な問題で分泌そのものが出来なくなったりという事を示しています。

インスリンの分泌不足(1型糖尿病のように自己免疫異常によるものや、不摂生による膵臓の疲労)

インスリンの細胞への取り込み機能が低下(上の図ではインスリン受容体の機能低下

いずれも血糖値をコントロールするためのインスリンが関与しているという事になります。

対策

まずは、運動不足を改善したり、生活習慣を見直す、食事の見直しなど出来るところからしっかり始め、それでも駄目な場合は、薬や注射という事になります。

インスリン受容体に着目し、インスリンが体内に分泌されているにもかかわらず、血糖値が高めな方もいるという事実から、受容体とインスリンの結合に必要な物質を作り出すことで解決しようとする意見もあります。参考程度にそれが三価クロムとミネラルとアミノ酸という事です。特にクロムは食事ではなかなか摂取できません。それ用のサプリメントもあるようです。

最近では、先ほどの図で、ブドウ糖を細胞に取り込むゲートに関して、運動が有効であるということも言われています。持続的な有酸素運動軽めの運動をすることで、本来はインスリンとインスリン受容体の働きでゲートが開くわけですが、その持続的運動でもゲートが開く事が分かってきています。つまり、持続的な運動は、これまでは筋肉を使いブドウ糖を使えるためだったのですが、それに加えて、血管からブドウ糖を細胞に取り込める可能性があるという事も言えます。

さて、一番最初の患者さんからの質問。「サプリメントに果糖が入っているが、自分が飲んでも平気なのか?以前、医師からは果糖の摂取が糖尿病を助長すると言われた。」という点ですが、血糖とは血液に入っているブドウ糖の事でした。果糖ではないですね果糖はブドウ糖と違い、腸から吸収されると、速やかに肝臓に入り、そのままエネルギー源となっていきます。ブドウ糖とは違った代謝経路(詳しくは説明を省かせていただきます)をたどります。果糖の内およそ10%はブドウ糖となりますが、ほとんどは肝臓での直接代謝となります。

血糖の上昇率をGI値と言いますが、これはブドウ糖を100としています。それに対して、果糖はおよそ20です。ちなみに砂糖(精製されたグラニュー糖)は60です。果糖は血糖値を上げる力が全くないわけではないのですが、その影響は極めて少ないと言えます。ただ、血糖値の上昇には影響が少ない果糖ですが、中性脂肪の上昇は砂糖やブドウ糖よりも高いので気をつけてください。

果物と果糖は違いますのでご注意を。果物には果糖のほかにブドウ糖、ショ糖が含まれていますので、こちらは食べ過ぎれば血糖値を上げてしまいます。

ですので、最初の質問には「なんでも食べ過ぎれば良くないですが、果糖が血糖値を上げる効果は、サプリメントに含まれている量では気にしなくて大丈夫です。」という事になります。気をつけるべきは精製された砂糖やブドウ糖などを摂ることです。

糖尿病と運動

糖尿病に対して運動は重要な要素になります。ではどのような運動をどの程度する事が望ましいのでしょうか。

分け方によって様々ですが、ここでは有酸素運動と筋力トレーニングを上げておきます。

有酸素運動

ウォーキングやジョギング、サイクリングやスイミングなど、一定時間持続的に行う運動です。これは、筋肉を使い、筋肉内のグリコーゲン(ブドウ糖が貯蔵されている形)を使い、また血液内の遊離している脂肪を燃焼させることが出来ます。また、先ほど書いたように、細胞のブドウ糖取り入れのゲートを開く効果も期待できます。

この時にどの程度の強度かは、心拍数をベースに計算をする事が出来ます。

目標心拍数=(最大心拍数-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数 *最大心拍数は220‐年齢です。

例)40歳、安静時心拍数75の場合、運動強度は50%

(220-40-75)×0.5+75=127.5

糖尿病に関しては運動強度は50%くらいでいいと思いますので、目標となる心拍数は120から130拍の間で行っていただくと良いと思います。これを30分くらい、週に3~5日。でも、継続が大事なのでしっかりと生活習慣の中に組み込んでください

筋力トレーニング

なにもジムに通わなくても、自分の体重を利用したり、ゴムチューブなどでも十分です。これは筋肉のグリコーゲンを利用でき、基礎代謝を上げる効果もあります。基礎代謝が上がることは、運動を意図しなくても普段の生活で消費できるカロリーが上がり健康のためにも良い状態になります。こちらは、10~15回を目安に、2セット位から始めてみてください。やるべき種目は一度の運動でたくさんの筋肉が使える、例えばスクワットなどがいいのですが、こちらの具体的なものは個々に見るべきですので、病院や接骨院、治療院などで聞いてみてください。

糖尿病は、現代社会では増え続けている病気で決して珍しいものではなくなってきました。それに対しての様々な対処方法や予防も多く出回っています。基本は運動と食事になりますので、まずはそこの見直しを図りつつ、自分に合った方法を継続していくことが大事です。

次回は、東洋医学で糖尿病をとらえてみます。