数年前からダイエットを目的に酵素サプリを推奨されているのを目にする事があります。今では酵素サプリというもの自体もだいぶネットや一般の薬局でも目にする機会がありますが、この効能に関しては未だに賛否分かれています。今回はどちらかに偏らず、なるべく客観的にブログが書けたらよいかなと思いながら書いてみます。

酵素サプリを摂ることのメリットは、

・人間の一生で生成される体内酵素の絶対量は限られており、加齢と共に体内で生成される酵素の量は減っていきます

酵素の不足は、疲れやすや免疫力の低下をもたらし、また太りやすい体質になっていきます。

・体内の酵素は、消化酵素と代謝酵素に分けられており、消化酵素を節約することで代謝酵素の割合が増えます

・酵素サプリや酵素ドリンクで不足しがちな酵素を体に補充することができます

酵素サプリを摂ることで、人間が体内で作ることの出来る酵素の絶対量を下支えし、消化酵素の利用を節約することで代謝酵素の働きを増やし、健康な体になっていきましょう。というのがメリットといえます。

酵素って

ここにきて、酵素ってなんでしょうか?洗濯洗剤などにも「酵素パワー」などと書かれているものもありますが、酵素は触媒です(間違っても栄養素ではありません)。触媒とは化学反応を促進させるための仲人のようなもの。例えば、水素と酸素を混ぜたものだけでは、水は生まれません。しかし、ここに銅をほんの少し加えると、水となります。この時の銅が触媒です。水を作り出した後の銅は銅のまま存在しています。

つまり人間における触媒が酵素です。例えばたんぱく質という栄養素をアミノ酸へ変化させる反応の際にその仲立ちをするのが、例えばペプシターゼという酵素です。先ほども書いたように、たんぱく質を最終的にアミノ酸にする際のこのペプチターゼは、その役割が終わってもペプチターゼのままです。触媒(酵素)は、化学反応の前と後とで変わることはありません。アミノ酸への変化を促した後にペプチターゼが何か別の物質に変わるという事はありません。

人体の酵素は3000種類以上

これは、酵素(触媒)は特定の化学反応を促進させるための物質だからです。先ほども出たペプチターゼは、たんぱく質をもっと細かくしたポリペプチドというものをアミノ酸に変化させる作用しか持ちません。当然、人間の身体の中では限りなく様々な変化がありますから、3000種類以上の酵素があちらこちらで働いてくれています。1つの酵素は1つの化学反応に対して特異的に、まさしく鍵と鍵穴が合う形でしか反応をしません

酵素はたんぱく質

厳密に同じというわけではありませんが、酵素を構成しているものはたんぱく質(アミノ酸がたくさん集まった物)です。

酵素は死なない

酵素は先ほども書いたように人体内の触媒です。酵素が一番良く働く温度は35~40℃の範囲と言われています(もちろんそれ以上でも働く酵素もありますが、一般的にはこの範囲です)。例えば60℃の中では、酵素はその活動力を失わせてしまいます。これは失活と呼ばれます。失活後にまた35℃に戻しても、その活動力は失われたままです。死というのは生命に対して使う言葉ですので、例えば酵母菌という微生物に対しては死という言葉はあてはまりますが、酵素はあくまで失活や変性という言葉になります。

消化器における酵素

先程も書いたように、人体の酵素の種類は膨大です。その中でも、消化に関わる酵素を書いてみます。

消化酵素

唾液に含まれるアミラーゼという酵素が、でんぷん(炭水化物)を麦芽糖に変化させます。ただし、口腔内に食べ物が存在するのは30回咀嚼してもおそらく1分もないかもしれません。唾液のアミラーゼによって口の中で麦芽糖に変化する可能性は低く、唾液とともに食道を食べ物が通過しやすくしているというのが役割かもしれません。たくさん噛むと甘味を感じるのは多少の糖の変化があるからかもしれません。

胃液にはタンパク質分解酵素であるペプシンが、タンパク質を分解してペプチンへと変化させます。

十二指腸

象徴の一部ですが、特にここでは膵液と胆汁が働きます。膵液は、タンパク質、脂質、炭水化物それぞれに作用する酵素を全部含んでいます。タンパク質やペプチンなどに働いて、ポリペプチドやアミノ酸にするトリプシンや同様の働きをするキモトリプシン。デンプンを分解して麦芽糖に変える膵アミラーゼ。胆汁によって脂質が乳化という作用を受け、それをグリセリンや脂肪酸に変える膵リパーゼ(ステアプシン)などが働きます。

腸液には炭水化物とタンパク質を変化させる酵素が含まれています。ショ糖を分解してブドウ糖にするスクラーゼ、麦芽糖を分解してブドウ糖にするマルターゼ、乳糖を分解してブドウ糖とガラクトースにするラクターゼが炭水化物に関わります。ポリペプチドを分解してアミノ酸に変化させるのが、アミノペプチダーゼで、タンパク質に関係する酵素です。

このように、入ってきた食べ物をそれぞれ最小単位に分解させ、腸から吸収させる手助けを酵素は担っています。これらの消化に関わる酵素を消化酵素と呼んでいると思われます。

酵素サプリの実際

酵素サプリを摂ることで、なんらかの体にとって良い変化を感じている方は少なからずいますし、酵素サプリの意義を真っ向から否定はできないと思います。

しかし、酵素の性質を考えてみると、「消化酵素を酵素サプリで補い、代謝酵素の役割を増やす」という点においては少し無理があるように思います。先程も体の中でそれぞれ働く酵素を書きましたが、1つの酵素が1つの働きを持っていたと思います。例えば膵アミラーゼの働きを酵素サプリを摂取したことで膵アミラーゼが過剰に働く必要がなくなったとしましょう。しかし、最初に説明したように酵素は触媒です。触媒は化学反応の前後でその性質を変えることはありません。膵アミラーゼが過剰に使われなくなったとしても膵アミラーゼは膵アミラーゼとして存在します。1つの消化酵素が役割を軽減したにすぎません。だからといって代謝酵素の役割が増えるということは関連性が無いように思います。代謝酵素にもそれぞれの役割が1つ1つあるので、消化酵素が節約されて代謝が促されるというのは考えづらいところです。

また、人間の体内で作られる酵素の量は絶対量が決まっている(潜在酵素)ために、食べ物から酵素(食物酵素)を補わなくてはならない。この点に関しては全くの未知数です。酵素がなくなれば人は死んでしまいますが、実際に酵素が全身から無くなったことで死んだという事を聞いたことがありません。酵素にしてもその大部分がタンパク質である以上、大前提としてタンパク質がなくなれば確かに酵素を作り出すことは難しいかもしれませんが。死んだあとも腐敗という反応には酵素が関係してるわけですし、この点を証明できるものが見当たりませんので、将来的に証明できる可能性が0ではないということで未知数という形をとっています(生化学をはじめとする科学を専門にしている方々にとっては、「酵素は必要な時にそれを合成させる指示を遺伝子のレベルで行い、アミノ酸などを使い必要な形で作り出されるために、絶対量が決まっているという論理はおかしい」という点から絶対量説を完全に否定はしていますが)。

そもそも食物酵素を取り入れたとして、その酵素は胃酸というとても強い酸性にさらされ、その機能を失ってしまう(失活)ことが考えられます。失活後に胃を通過した後に腸で再び酵素としての活動力を取り戻すというのは数多くある酵素の中には特異的なそのような能力を持つ酵素があるかもしれませんが、おそらく大部分は胃酸による失活とともに、胃酸によるタンパク質分解酵素の影響でその大部分の構成要素がタンパク質である酵素は変化させられてしまうと考えられます。それでも腸まで到達した食物酵素があるとしましょう。しかし、食物酵素は大きすぎて腸から吸収されることはないはずです。やはりその最小単位であるアミノ酸となってから吸収されるはずです。

つまり原理的に考えれば「食物酵素を摂ることで体にとって有用な酵素をあらたに補充できる。そして消化酵素を節約できる」というためには実際に食物酵素が体内に入った際、どのようにそれらの酵素が体のどの部分(内臓)で働くのかということがわからないといけないのですが、調べてみてもこの点を納得いくように書いてある資料には出会いませんでした。

ここまでの段階で、最初に挙げた酵素サプリのメリットのうち、「人間の一生で生成される体内酵素の絶対量は限られており」「体内の酵素は、消化酵素と代謝酵素に分けられており、消化酵素を節約することで代謝酵素の割合が増えます。」「酵素サプリや酵素ドリンクで不足しがちな酵素を体に補充することができます」という考え方は少し無理があると言えます。特に酵素ドリンクにはおそらく酵素は含まれていないと思われます。清涼飲料水である以上、市場に出る前に熱による殺菌消毒が義務付けられていますので大半の酵素はその段階で失活しているはずです。

これらの理屈は、おそらく1人の酵素の専門家の理論が大元にあると言われています。エドワード・ハウエル氏の「酵素栄養学(日本では「キラー・フード」)」によります。機会があれば購入できますので「キラー・フード」およびその続編である「酵素の力」を読んでみても面白いと思います。科学的な根拠は全くないと科学者からは否定的なものですが、酵素と健康に関して新しい意見が書かれているととらえ、余り肩肘張らずに気軽に読んでみるいいと思います。

酵素サプリの効果は?

では、酵素サプリの効果はどこにあるのでしょうか。おそらくですが、酵素そのものの効果ではなく、酵素サプリには多くの身体にとって有用な栄養素を多分に含み、それに関連した酵素が、それらを有効に働かせているために、栄養素が体内に吸収されやすくなっていると考えられます

また、フィトケミカル(ポリフェノールやカテキンなど抗酸化作用や免疫力向上に効果があるとされている新たな栄養素です)も含んでいるものもありますので、その作用による健康状態の向上が現れている事も考えられます。

酵素サプリを選ぶときには少なからず、加熱処理されていないサプリメントを選ぶようにしてください。そうでなければ、酵素の失活が起きてしまっていて、酵素が入っている意味が失われていると思います。

まとめ

酵素サプリの効果は、酵素を摂取することでいわゆる消化酵素や代謝酵素の役割の比率を変えることではなく、有用な栄養素と共に酵素を摂取することで、栄養素に事前消化を促し、各臓器における負担を減らす事が出来るものだと推測できます。ただし、サプリメントを購入する時には少なからず熱処理のされていない生酵素を選ばないと、すでに失活しているものを摂り入れるだけになります。

また、サプリメントは結局のところ栄養補助食品です。どんなに優秀なサプリメントを摂ろうと、暴飲暴食、過度の飲酒などをしていて、「サプリメントを飲んでいるから大丈夫」は通用しません何度も出てきた消化酵素の過剰分泌を抑えたいのであれば、酵素サプリに頼るよりも、良く噛みながら腹八分目、もしくは七分目に食事を留めた方が有効です。そのうえで、残念ながら現在の食材に含まれる栄養素は一昔前に比べものによっては50%くらいしか摂れないものもあるので、そこはサプリメントに補助してもらうと良いと思います。

最後に実際に酵素ドリンクの製造元に酵素に関しての質問をされているサイトがありますので、それぞれの意見が回答されていますので、参考になさってみてください。