今回から2回ほど「骨盤」という場所を通じて意識することの大切さを書いてみようと思います。元になっているのは「フランクリン・メソッド」というものですので、記事を読んで少しでも興味を持っていただけたら、そのメソッドでセッションを行っているスタジオや書籍はたくさんありますので、調べてみてください。

1回目の今回は骨盤に対しての理解度を上げるという点を考えてみたいと思います(ですので実用的な内容ではないかもしれません…)。

イデオキネシスとフランクリンメソッド

イデオは「観念」、キネシスは「運動」という事で、イデオキネシスは「観念運動学」という事になります。これだけでは何の事か分かりませんが、大きく言ってしまえば、「頭で考えてイメージした事を運動に実際に反映させるメカニズムを総括したもの」です。

イメージトレーニングという言葉は耳にした事があると思いますが、例えば、自分がなりたい将来の姿を明確に思い描いて行くことでやるべきことが明確になって、結果思い描いた自分になったり、運動等でも初めて行う動作を何の映像もなく、ただ言葉だけで教えてもらうよりも、実際にやって見せてもらったり、映像としてみておくことで、自分の身体をより効率的に動かせるようになるというものです。

これらをより精度の高いものにするにはイメージするものが具体的で正確な方が良いわけです。逆を言えば間違えたイメージを基に行われた反復練習は間違えた身体の使い方を習得することになり、パフォーマンスも上がりません。

イデオキネシスはリハビリや運動など様々な分野に影響を与えているものです。その概念をもとにエリック・フランクリンという方が考え出した方法が「フランクリン・メソッド」と言われるものになります。

骨盤

骨盤と一言で言っておおよそ身体のここら辺にあるというイメージは多くの方がもっているのではないでしょうか。

全身骨格

人間の骨格の内、腰に上半身と下半身の間、背骨と股関節を機能的に結び付けている部分に骨盤があります。骨盤の役割は様々ですが、多くの骨がそうであるように筋肉が付着する部分であったり、上半身の重さを両足に分散するためのものであったり、または内臓を支えているものであったりというものがあります。

では骨盤のみを取り出してみます。

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骨盤というのは1つの骨ではありません。いくつかの骨の集合体を骨盤と呼んでいます。

骨盤=仙骨+尾骨+寛骨(腸骨+恥骨+坐骨)

となっています。寛骨という左右2つある骨はもともとは腸骨、恥骨、坐骨という3つの骨がくっついたものです。これはおおよそ15歳から17歳くらいまでに完全にくっつきます。なかなか、骨盤をイメージできないのも、たくさんの骨が集まったから難しいのは当然です。しかし、この骨盤の形状をイメージできたり、骨盤の機能をイメージできると最近はやりのインナーマッスルもイメージしやすくなり、結果として、身体の中心をイメージできると運動の質が変わってきます。先ほどのイデオキネシスはこういう観点でも大事になってきます。

骨盤による重心の分散と集約

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骨盤は上半身と下半身の間にあります。そこで、数ある骨盤の機能の1つに、重心や重さの分散という目的があります。

赤い矢印は上半身の重さが仙骨という骨にのしかかり、それが左右の寛骨を通して股関節へ伝達して、左右の足に分散されていきます。青い線は体重を支えている足にかかる床からの反発力を股関節を介して、恥骨に集まり下からの力を集約している事を模式的に示しています。

仙骨のうなずき運動

仙骨の左右には寛骨があり、寛骨の中でも腸骨という部分が仙骨と直接関節を形成しています。そこで、仙骨と腸骨の間の関節という事で仙腸関節という名称がつけれられています。

この仙腸関節は半関節と分類され、肘や膝のように大きな動きを伴うわけではありませんが、完全に動かないというわけでもない(女性の分娩時は例外的に大きく動きます)という性質があります。動く、動かないの議論は難しいところですが、その仙骨にうなずき運動反うなずき運動というメカニズムがあります。

なぜメカニズムか、それは仙骨が一定方向に動こうとすると左右の寛骨の動きにも影響を与えるからです。

骨盤ニューテーション

仙骨が前に倒れるような運動をする、うなずくような運動をする事をニューテーションという言葉で運動や施術にあたっている人たちは言います。

ニューテーションの時は、仙骨が前にうなずくような運動をする事に伴い、お尻はややでっちりの様な状態になります。細かくは骨盤の上の方は狭まり、骨盤の先端や恥骨や坐骨は外に広がろうとします。この時に仙骨は締るポジションとなり、先ほど書いた重心のラインが安定的に分散できるようになります。

ニューテーションに対して、仙骨が持ち上がるような動きをする状態をカウンターニューテーションと言います。頭をイメージしてもらって仙骨が頭と仮定してみるとうなずく動作と頭を上に持ち上げる動作というイメージが出来ると思います。この時にお尻は少し落ちたような状態(でっちりの逆です)です。先ほどとは逆に骨盤の上の方は広がろうとし、骨盤の先端、恥骨、坐骨は内側に狭まろうとしています。この時に仙骨は緩みのポジションになります。

締りのポジションでは姿勢を安定させやすくなり、緩みのポジションでは動きをスムーズにする事ができます。どちらが優れているという事はありません。事実、歩いている時には地面に脚が付いている側はニューテーション、締りのポジションで身体を支えつつ、地面についていない踏み出そうとしている脚の方はカウンターニューテーション、緩みのポジションで脚を動かしやすくしています。

触れてみましょう

ほぼすべての運動において今からやろうとしている全体的な動作を意識したり、イメージすることは日常的に行っていて、それが無意識に出来るようになると意識することなく運動が出来るようになっています。実際、歩いている時にこちらがニューテーションになっていて、逆はカウンターニューテーションになっている等はやっていません。しかしイデオキネシス、イメージトレーニング、フランクリン・メソッドなどではそれらを意識下に置く運動を行う事で、普段当たり前すぎて意識していない部分を鍛える事が可能になります。

ここで運動の紹介の前に、骨盤についてもう1度おさらいがてら実際に自分自身の身体に触れてみてください。立っていただくとやりやすいと思います。

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図では一部しか書いていませんが今から書く手順に沿って手を動かしてみてください。

手は寛骨の一番上に当ててみます。ここが骨盤の一番上、腸骨陵と呼ばれるカーブです。そこから、ゆっくりと手を前に骨の上をなぞりながら骨盤の先端まで行くと、これ以上いけないという所に突起の様な骨の出っ張り部分を触れる事が出来ます。それが上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)という腸骨の1部です。それに触れたら、今度はその上前腸骨棘を手の平で触れてみて、あたかもポケットに手を入れるように斜め下に指先を向けてみてください。そこで触れる事が出来るのが恥骨という骨です。

恥骨まで触れたらまた手を寛骨の一番上、腸骨陵に当てます。今度はゆっくりと手を後ろに骨をなぞりながら移動させます。すると手の恐らく親指だと思いますが、親指の先にグリっとした骨を感じると思います。これが上後腸骨棘(じょうごちょうこつきょく)です。最後に椅子に座ってみてお尻の下に手を入れてみてゴリゴリと骨を感じる事が出来ると思いますが、この部分が坐骨という事になります。

骨盤のどこに何があるのか、普通はこんなことを考えることはしないと思います。しかし、骨盤を意識して、身体の姿勢や運動のパフォーマンス向上には必要な事になります。次回は骨盤にくっつく筋肉を紹介しつつ運動も紹介できればいいかと思います。それまで、たまにご自身の骨盤に触れてみてください。