最近ブログでは腸と体の関係を書くことが多かったのですが、今日は全く違う乳腺炎のお話。

院では妊婦さんから出産後の方々への施術も承るのですが、この時に役立つ考え方のベースに東洋医学の考え方があります。もちろん、腰痛や寝違え、腱鞘炎から膝の痛みなど体の痛みやその他の状態を訴える方へも東洋医学の考え方が役立つことが多々あるのですが、特に内科的な不調などは東洋医学も併せて考えると全体像が見えやすくなります。

乳腺炎の東洋医学的な考え方

乳腺炎は字のごとく乳腺の炎症。この炎症反応は東洋医学では「熱」となります。五臓六腑の中で特に熱に侵されやすい臓器が「肝」です。もちろん、ほかの部分も熱を持ちますが、この肝が熱を持ってくると近隣の臓器にまで熱を波及してしまうことが多く見受けられます。

たとえば胃の不調があり、胃に直接効く薬を飲んでもなんだかすっきりしない場合は、胃も熱を持っていて、その熱は実は肝熱が波及したものの場合、肝熱を何とかしないと胃の熱も収まらず不調が続くことになることもあります。

肝には疏泄(そせつ)という流れをのびやかにする作用を担う役割があります。乳汁は気や血から生成されるのですが、この気や血は元をたどると胃や脾と呼ばれる消化にかかわる臓腑から生み出されます。また妊娠中は胎児に気や血を提供していた衝脈や任脈という流れがあるのですが、産後はこの衝脈や任脈を流れていた血が生成され乳汁へと変化します。

妊娠から出産、育児の流れでお母さんの受ける精神的、肉体的な変化やストレスが多大になることもしばしばあります。肝はストレスとも深く関係しています。日常の過度のストレスがたまると肝熱が発生するものです。

このようなことから乳腺炎の基本的な東洋医学的な考え方は次のようなことが考えられます。

1.ストレスによる肝熱の発生が肝の気血の流れをのびやかにするという疏泄作用を低下させ乳汁を乳腺に停滞させ肝熱の熱が炎症をもたらす。

2.過食などにより胃に負担をかけ胃熱を発生させその鬱滞した熱が肝に影響を与え乳腺炎をもたらす。

3.何らかの理由で火熱毒邪が乳腺に侵入(ウイルスとかをイメージするとわかりやすでしょうか。東洋医学では外からくる悪いものを「外邪」と言いますが、その外邪の中でも熱症状を出すようなものが侵入したと思ってください)して乳腺炎となる。

ざくっと書くとこのような理由です。

対処

肝熱がベースにあるのでしたらその肝熱をとる処置をすればよいことになります。肝の流れ(肝経)にある熱をとる作用のあるツボを使い対処します。具体的には行間や期門などです。これらは瀉熱開鬱、消瘀通絡という性格を持っていますので肝熱を取り除くツボです。

おおよその場所です。

また悪寒発熱のような状態がある場合は胃の流れ(胃経。これは足陽明経、足陽明胃経の略です)と等しい「陽明経」の1つである大腸経にあるツボで合谷や曲池を胃に熱が波及しないように、してしまえばそれを取り除くために用いることがあります。

食事でケア

上の段のものは主に鍼灸師が鍼を瀉法に操作して使うことが多く一般的にできる事ではありません。

やはり日常でケアをしていくならば食事に気を付けることが重要になると思います。体に熱をためやすい食べ物は「お酒」「甘いもの」「脂っこいもの」です。これらを極力減らしながら、熱を下げる食べ物を食べて体に余計な熱をためないことも有効です。

体に熱をためる食べ物

お酒、甘いもの、脂っこいもの

体の熱を下げる食べ物

トマト、バナナ、きゅうり、昆布、柿、セロリ、スイカ、ニンジン、リンゴ、梨、ナスなど

母乳とミルク

どちらが優れているという事を書くつもりはありません。これまで東洋医学的観点で乳腺炎を説明いたしましたが、当然、乳汁を乳腺にとどめないことが大事です。その点では授乳はお子さんのためだけでなくお母さんの体調管理の点でも必要なことだと思います。

しかし、もともと母乳の出が悪い、赤ちゃんの吸う力が弱いなど様々な要因で授乳がうまくいかないこともあるでしょうし、現在の社会的な環境の中でミルクを併用していくことは決して悪いこととは思えません。このようなことでお母さんがストレスを抱えてしまえばまた肝熱が発生してしまいますし。

お母さんが元気でいる事、ストレスを上手に発散できることが乳腺炎に限らず育児中のもっとも大事なケアだと思います。