今回は「つわり」について書いてみようと思います。ちなみに、過去にもブログで妊娠中のマイナートラブル妊娠中の食べ物などについては書いていますので、そちらも参考にしてください。

つわりの原因

今、つわりに悩まれている方は他のサイトなどもみていらっしゃるかもしれません。そこで原因については「現時点では明確な原因はわかっていません」という答えにたどり着くと思います。確かに原因はわかっていません。原因がわからないとなるとそれに対してどのような対処がいいのかということも明確にはわからず、経験値で様々な方法が挙げられています。これらを試してみてご自身にとって1番良い方法をとられて良いと思います。

今回は、このつわりの原因を東洋医学的に考えてみて、それに対して自分自身でできるセルフケアを紹介していきます。

つわりの原因~東洋医学的に~

主に考えられる東洋医学上のつわりは「脾胃が弱くなって起こる」「肝の気が鬱滞しておこる」「痰湿によっておこる」という3つが考えられます。東洋医学では女性の生殖器全体をまとめて女子胞といいますが、これと密接に関係するのが衝脈と任脈という流れです。

任脈

このうち衝脈は胃の流れ(胃経)に大きくは属している流れです。妊娠は衝脈と任脈から女子胞に血の流れがあり、かつ、生理のように、それら集まった血が流されずとどまり女子胞を満たしている状態です。だからこそ、胎児に栄養がいきわたります。

つまり、胎児を滋養するために通常の状態よりも衝脈や任脈は盛んになっている状態ともいえます。この盛んになった勢いは関係している胃にも影響を与えます。もし、先ほど挙げた原因のように「脾胃が弱くなっている」状態ですと、衝脈の盛んになった力の影響を胃が受けすぎてしまいます。東洋医学で良く出てくる「気」というものには色々な性質があります。その内の1つに昇降という、ようは気が上に昇って行ったり、下に降りていく力ですが、本来は下に行くべき流れが弱まり、上に突き上げられるように働いてしまう状態を上逆といいます。まさに、衝脈の自然に旺盛となった力が、弱くなった胃に影響を与え、上逆していく状態(胃気上逆という状態)となる、これが脾胃の弱いことによっておこるつわりとなります。

また、「痰湿によるもの」も実は、脾胃と深く関係しています。なぜなら痰は体の余計な水分のことで、湿は湿気の湿、つまり体に余計な水分がある状態で発生しやすくなります。この「痰」も「湿」もコントロールしているのは「脾」ということになっています。脾が弱くなることで痰湿が生み出されやすくなるのか、余計な水分、痰湿があることで脾が影響を受け、脾が弱まるのかすると胃気が上逆していきます。

もう1つの「肝の気が鬱滞する」ことによるつわりは、気と血の関係が影響しているつわりです。東洋医学において陰と陽という対極した2つの関係があります。気と血にもあります。気は陽に属し、血は陰に属しています。この陰陽の関係はシーソーのようなものです。一方が強くなれば、他方は相対的に弱まるという関係です。肝という臓器は「血を蔵す」と言われる場所です。妊娠によって女子胞に血が集まってくるのですから、肝からは本来貯めるべき血は少なくなります。血が不足するような状態です。この状態では、相対的に肝の気はうまく働けずたまっていくことになり、肝の気が鬱滞することになります。肝にその陰部分である血がなくなってエネルギーである気だけがそこにたまっていけばオーバーヒートを起こすように肝の気は上逆していきます。そして熱を帯びるようになると肝火上炎という状態へ移行します。もともと肝と胃は近くにありお互い影響しますので、肝と胃がうまくバランスを保てず(肝胃不和)、肝火上炎となればそれが胃に影響を与え胃気上逆をもたらします

つわりとは、東洋医学的に考えると、胃気上逆という状態で、それが何によってもたらされているのかに違いがそれぞれあるといえます。

3つのタイプの違い

脾胃が弱まって起こるつわり

主に、吐き気を覚え、食べ物のにおいでも気持ち悪くなり、食べることで吐いてしまいます。またお腹の膨満感を強く感じ、手足のだるさや倦怠感を感じ、眠気も強い場合がこのタイプと考えられます。

肝の気が鬱滞しているつわり

もともと肝はストレスに対して影響を受けやすいので、ストレスフルな状態の方は陥りやすいです。吐き気は先ほどと同じですが、苦みや酸味を感じるえづく感じや脂っこいものを嫌がる傾向にあります。そのほか、わき腹が張ってきて痛んだり、げっぷを多くするようになったり、ため息をつき、精神的に抑うつ傾向が見受けられる事もこのタイプの特徴です。また、肝の気が炎上するようなものですから冷たいものを摂取したくなり、顔も火照ったようになりますが、手足は冷えているような状態です。

痰湿によるつわり

吐き気、食欲不振、吐いた場合水気が多くなりやすいという傾向があります。また胸がむかむかするようになったり、味がよく分からなくなったり、口の中が苦みというより若干甘みを感じるような粘つきを覚えることもあります。全体的ですが、特に手足のむくみやだるさ、冷えを感じ、体を冷やしてしまうと下痢になりやすくなる傾向にあります。

ツボ押しでセルフケア

多くの場合、つわりは胃の気の上逆によるものでした。本来は、「脾胃虚弱によるつわり用のツボ」「肝気鬱滞によるつわり用のツボ」「痰湿によるつわり用のツボ」と分けて紹介するところですが、それは煩雑になりますので、今回は共通して覚えておくと良いツボをご紹介していきます。

それが「足三里」「中脘(ちゅうかん)」「膻中(だんちゅう)」です。まずはこの3点にセンネン灸を行ってみてください。もともとつわりを起こす方の多くは手足の冷えなどを持っています。ほのかに暖かいと感じる刺激をツボに使ってみていただくとよいと思います。もちろん指圧など押してみてもよいですが、その際は「中脘」はお腹にあるツボですので、あまりお勧めできません。

これは胃の気の上逆に関係するツボたちです。そして次の3つは吐き気のツボです。「内関」「関衝」「公孫(こうそん)」です。これらは色々な吐き気に使えるツボです。つわりに限らず、覚えておいて、万一吐き気を感じるようなときに3つを押してみて、一番効果的な場所を持続的に押してみると良いと思います。

つわりツボ

図のうち膻中と中脘というツボは1つしかありませんが、その他のツボは左右に1つずつありますので左右押してみてください。

膻中は体の前面の正中線上で両乳首を結んだ線の交差点にあります。胸骨という骨の上にあります。

中脘は体の前面の正中線上でみぞおちとお臍のちょうど中間部分です。

足三里は足首を上にあげると盛り上がるスネの筋肉の膝に近い部分です。

内関は手のひら側の前腕部分の真ん中のライン上で、手首のしわから人差し指、中指、薬指をまとめた指3本分上の部分です。

関衝は手の薬指の爪の付け根の外側部分です。

公孫は足の内側、母指球の脇(ちょうど外反母趾が出やすい部分)から人差し指、中指をまとめた指2本分かかとに進んだ部分です。

おおよその場所は図と上の説明でイメージしていただき、より詳しいツボの位置はお手数ですがネットで検索してみてください

*センネン灸などを行う場合は火傷をしないように注意して行ってください。外したセンネン灸を捨てる灰皿なども用意してから行ってください。センネン灸がない場合は5秒ほどかけて指や指圧用の棒などを使い適度に刺激を感じるくらいまで押し込み、そこから5~10秒ほど押し続け、5秒ほどかけて圧を抜く、このくらいの感じで押してみてください。

妊娠中の反応として多くの妊婦さんが経験する生理反応の1つであるつわりは、「病気」ではないと言われやすいです。しかし、それが辛く不快に感じてしまうこともおおい状態で軽減できるものであるならば軽減していきたいものだと思います。今回のツボで少しでもそれができたら良いと思います。