ミモザでは、妊娠中の方も施術を承っておりますが、最近妊婦さん用のオイルやクリームを取扱う事にしましたので、今回はその中に会陰マッサージ用のオイルがありましたので、会陰マッサージについて書いてみようと思います。

会陰マッサージ

会陰マッサージは、文字通り会陰部のマッサージですが、会陰部を妊娠時(34週目以降が一般的)にマッサージすることで出産時に会陰切開をしなくても良いように、膣および会陰部に柔軟性を持たせる目的で行われます。

効果

会陰マッサージを行う事で会陰切開を完全に予防することはできません。また、会陰切開予防目的で会陰マッサージを行って効果を得られるのは初産の方に限られる事が分かってきています(第2子出産時の会陰切開予防にはつながらないようです)。会陰マッサージによる自然に会陰部が裂けてしまうリスクは10%減少、会陰切開のリスクは16%減少することがデータとしてはあります(データを出している調査方法等によっても差異はありますが)。そもそも、自然に裂けてしまう事は様々な書物にも書いてありますが、およそ44~79%の確率で起きる事であるようです。

その他に、会陰マッサージを行う事を通じて母親になるという意識を高めたり、出産時の会陰切開も含め、痛みに対しての恐怖感から精神的なストレスを受ける方もマッサージによってストレスを軽減するなどのメンタル面での効果も考えられています。また、会陰切開の予防目的では初産でない方には効果が無いと書きましたが、第2子出産の方の内32%の方が、会陰マッサージを行った結果、出産後の会陰部の痛みの軽減を訴えています。

・会陰部の筋肉、組織の柔軟性を上げる事が出来る。

・会陰部の筋肉、組織の柔軟性向上のよって自然に会陰部が裂けてしまったり、会陰切開のリスクを減少させることができる。

・第2子出産の方は、産後の会陰部の痛みを緩和することができる。

・メンタル面での効果

このあたりが、会陰マッサージの効果といえそうです。

頻度

では、実際にマッサージを行う頻度や1回あたりの時間はどの程度が目安なのでしょうか。一般的には週に2,3回で1回につき10分ほどとなります。実はこの頻度は未だ正確な数字ではありません。週に平均して3.5日マッサージを行ってもそれ以下の頻度でやった人に比べて優位に会陰切開などのリスクを減少させてはいないという結果や、週に平均して1.5日マッサージをした人の場合は会陰切開のリスクは17%減少させることに対して、それ以上で行った人では8%のリスク減少にとどまっているという結果もあります。

ここから想像できることは、余り頻繁に会陰マッサージを行っても会陰切開のリスク減少にはつながらないという事です。むしろ、週に1、2日マッサージを行う事でも効果があるという事も言えそうです。ですので、個人的には週に2日程、1回は10分ほどの会陰マッサージで十分ではないかと考えます

方法

まず、会陰部は他の部分よりも繊細ですので、かならず爪を綺麗に切った指で行う事が前提になります。タイミングとしてはお風呂上りなど皮下の血流の良い時に行う事が望ましいです(お風呂の中で行うという方法もありますが、ただでさえ滑りやすいお風呂でオイルを使いマッサージを行って転倒のリスクを考えるとお勧めはできません)。

準備するものは、会陰マッサージ用のオイル、清潔な手指、オイルが下に落ちた際に受け止められるようにタオルやまたは生理用ナプキンなど、また、自分の指で行う事に抵抗がある場合は化粧用のコットン等にオイルをしみこませてマッサージしても良いと思います。

会陰

まずは、図のように会陰部をU字型にオイルをつけた手でマッサージ。その後、同じ部分をくるくると回すようにマッサージして、会陰部をほぐすようにしていきます。ここで終わりという方法もありますが、会陰部のマッサージを終えた後に、親指を使い自分で膣の中におよそ第一関節分くらい入れて、膣を肛門方向にゆっくり丁寧に押す方法を加える事もあります。このやり方については海外のサイトに図がありますので、こちらの“How to Do Perineal Massage”を参考にしてください。ただし、サイトの図は親指2本で行っていますが、かなり強く痛みを感じてしまうので、親指1本で大丈夫だと思います。非常に過敏な部分ですので、ゆっくりと行って、図に示している方向にそれぞれ1、2分ほど持続的に押していきます。この際に強い痛みを感じるようなことが無いように丁寧に行ってください。

注意点

基本的に非常にセンシティブな部分のマッサージで、また、衛生面の注意が特に必要な部分です。例えば、マッサージ中に間違って肛門を触れてしまえば、その指はマッサージに使わず他の指で行ってください。また、オイルをコットンにしみこませてマッサージする場合も気がつかずに肛門に触れている場合があります。

先ほども書いたように、頻度を多く行えば会陰切開のリスクが減るわけではないので、たくさんやって組織に負担をかけないように心がけてください

会陰マッサージを行いたい場合は、担当の産科の先生に必ず行っても良いか意見を求めてください。例えばですが、子宮口の状態や会陰部や膣などの粘膜や組織に何らかの問題がある時に(感染症など)マッサージを行うのは避けた方が良いですし、会陰マッサージを行って、会陰切開を極力避けたいという意志表示も必要だと思います。

まとめ

会陰マッサージを行えば、会陰切開のリスクを減らす事が可能です。しかし、マッサージをしたから、絶対に会陰切開されないという事ではありません。あくまでリスクを減らす事が目的です。しかも初産に限っての話となります。なかなか、マッサージの量をどの程度やる事が望ましいという確証はありませんが、34週を過ぎたころから、出産に向けて、週に1,2日は会陰マッサージを行ってみてはいかがでしょうか。

出産後の予測される身体の負担、変化(余談)

今日は会陰マッサージがテーマでしたが、出産に対してのストレス等はマタニティブルーなど言葉があるくらい様々な身体的、精神的負担が訴えられています。しかし、そこで終わりではなく、その後、出産後にかかえやすい問題点をいくつかあげておきます。これらを知っておくことで、それらの変化に出来るだけ予防できることはしておくと少しは楽になるかと思います。

・会陰切開後の縫合が引き攣れ感となったり、痛みを感じてしまう事があります。

→極力組織の緊張をほぐすように会陰マッサージの実施をしてみてはいかがですか。マッサージをした方が、会陰切開の範囲が狭くて済むという事もあります。

・腰痛。骨盤を形成している後ろの関節がゆるくなり腰周りに負担をかけていきます。

→可能であれば、産後の骨盤ケアを行ったり、以前お伝えしたケーゲル体操などで骨盤の底の筋肉を鍛えるなどが大事です。

・痔。出産時に一過性に痔になってしまう妊婦さんは結構いらっしゃいます。自然に治る事が多いのですが、もし治りが悪い場合は医師に確認してください。

・妊娠線や正中線に後が残りやすくなります。

→妊娠線は、急激にお腹が大きくなることでお腹の皮膚がその変化についていけずに出来てくるものですが、これを予防するようなクリームも出ていますので、可能な限りケアしてください。また、妊娠線とはちょっと違いますが、妊娠の中期以降に、みぞおちから下腹部にかけお腹の真ん中に薄黒い1本の線が出てきます。こちらに対しては明確な原因が分からないために対処も難しいものになります。

・腱鞘炎。以外に治療院に授乳させることによる赤ちゃんの抱っこが負担となって腱鞘炎になってしまう方がいらっしゃいます。

→授乳用のまくらなどを当てがって手首に負担のかからないようにしてみてください。

妊娠、出産は消して病気ではないです、だからと言って母体には大きな負担がかかっている事には違いありません。また、身体的な負担だけではなく精神的にも負担をかかえていることは多いものです。妊娠から出産、育児という流れの中で身近にいる方のサポートも大事なケアになります。